23 キミカの中の人 1

テレビでは今年の目玉ニュースをやっていて、それをみんなで見ていた。
ナツコはメイの部屋の中の少女漫画(ホラー)を読んでいて、ナノカはメイのベッドの上でまるで自宅の部屋でくつろぐかのようにゲームをピコピコとプレイ、俺はシャンパンからワインへと切り替えて「アウスヘーベン・ビディンツ」という名前のドイツモノ赤ワインを飲んでいた。その横ではメイが俺のワイングラスが空くたびにそこに注いでくる。注ぐという行為によって俺と肌と肌が触れ合うからそれが目的でやってるみたいだ。
テレビのニュースは「ドロイドバスターキミカ」のニュースとなり、街の中の人達にマスコミがインタビューしているシーン。「ドロイドバスターキミカは普段はどんな人だと思いますか?」という質問に対して、「実はアイドル」だとか「実はお金持ちのお嬢様でバッドスーツを着てジョーカーとかキャット・ウーマンとかと戦う」とか「特殊な蜘蛛に噛み付かれて手から蜘蛛の糸を出せる」とか「宇宙からやってきた。自分の星は滅ぼされた」とか…好き放題言いやがって…。
「ドロイドバスターキミカの中の人はきっと女子高生ですわ。普通に授業を受けてて普段はとてもクールで、友達も多くもなく少なくもなく、でも、ふと魅せる優しさがあるのですわ。そして可愛い後輩達からは崇められてて、熱心な後輩の一人と女と女から一歩進んだ関係に…」
などと妄想にふけるメイ。間髪入れずにナノカが、
「違うよ、クラスメートとプールでセックスするんだよ。女と女でね」
「ち、違うますわ!後輩とセックスすると思いますわ!」
「なんで後輩となんだよー。一番よく顔を合わせてるのは同じ部活で同じクラスの人じゃん」
「思いの強さは後輩のほうが上ですわ!」
二人は一体何の話をしてるのかな…?
二人は突然俺のほうを向いて、
「キミカっちはどっちとセックスすると思う?」「お姉様はどっちとセックスするのですの?!」
そこ俺に振るんだ…。
俺はしばらく考えた後、
「3Pする」
すかさずユウカが、
「あんた達ねぇ…。キミカの中の人がどうとかの話をしててどうしてそっちに飛ぶのよ。っていうか3Pとか何変な事言ってるのよ」
ツッコミ役はユウカが適任だな。