22 あけおめことよろ 6

ドロイドバスターに変身した後の俺を写したと思われるポスターに囲まれた部屋で着々と準備が行われていた…。
テーブルの上に鍋セットが並んでお寿司、オードブル、おせち、ワインにシャンパン…。さすがはお嬢様学校。誰がお金出したか知らないけど凄い料理の数。そして準備は整っていよいよ開始の合図。シャンパンをメイが開けようとする。
「あ、あれ…なかなか…固いですわ」
「どれ、貸してみなさい」
ユウカが受け取って同じフォームでそれを開けようとする。
「ん…ん〜…固い」
しょうがない。俺が開けてあげるか。
「かして。開けてあげるよ」
シャンパンを受け取ると俺は蓋の部分にグラビティコントロールを集中させて引っ張り上げる。蓋が抜けてそのまま天井の照明を破壊するベクトルだったので、そのまま空中で蓋をキャッチした。
「あんた凄いわね!」とユウカ。
「す、凄いですわ!!」とメイ。
「すっごッ!」とナノカ。
「通常の状態で既に力を開放出来るとは…流石ですわ」とナツコ。ナツコの評価は俺じゃなくて兄貴に対する評価って感じだな…。
「お嬢様の嗜みですわ」と俺。
「やっぱりキミカさまはお嬢様でいらしたのですわね!あぁぁ…今日はなんていい日なのでしょう。私の人生の分岐点になりそうですわ」と目を輝かせて頬を赤らめて俺をじっと見つめて言うメイ。
「お嬢様っていうか、人の域超えてるじゃないのよ、なんて動体視力してるのよ」と冷めた事を言うユウカ。
なんて動体視力って、そりゃぁ一発だけなら弾道を見切るぐらいのレベルの動体視力だよ。などと思いながら俺はシャンパンをそれぞれのグラスに注いであげて、乾杯。
「エルシモ・ド・ラパーナですわ。お父様がフランスから取り寄せてくださったの。キミカさまが今日いらっしゃるだなんて知らなかったから、一番いいものを取り寄せて正解でしたわ!」
俺はシャンパンとかワインの味はあまりよくわからないんだよね。でもゴクゴク。ん〜フルーティーで赤ワインや白ワインと比べると(俺が今まで飲んできた中では)キツイ味ではないみたい。
「キミカさま、おつぎしますわ」
と俺の側に寄ってくるメイ。側にっていうか、俺のおっぱいのところまで肩を近づけてきて、くっついてくる。まぁ女の子にくっつかれるのは悪い気はしないけど…。
「こら、そんなにくっついたらキミカが食べづらいでしょ?」
などと後輩の粗相に怒るユウカ。
「んまッ、そんなに嫉妬なさらなくていいのに」
「いや、嫉妬してないわよ!んも〜。なんで私の知り合いにはレズビアンが多いのよ」
まー、俺はレズじゃないけどね、中身が男なので。
俺はまるで小動物のように温かいメイの身体を抱き寄せながらユウカに向かって、「ウェルカム・トゥ・レズビアンワールド」などと言ってみる。
「遠慮しとくわ…」
と冷めた口調で返された。ぬぅぅ…。
シャンパンは俺、ナノカ、ユウカ、メイ、ナツコのグラスに注がれた。にぃぁはグラスで飲むことが出来ないので大皿に注いでそっと床にそれを置いたら喉が乾いてたのかすぐにぺろぺろと舐め始めた。っていうか、猫にシャンパンあげるのかよ、勿体無いな!いや、それ以前ににぃぁは耳と尻尾はあるものの、姿は女子高生。みんな凄い自然に猫扱いしてるぞ。ある意味すげぇ…。