22 あけおめことよろ 2

ケイスケの置き手紙を見ると凄く切ない気分になった。
何が切ないかって、今、街で親子連れの奴らとか見た後、でも俺にも帰る家があって、そこでケイスケとナツコと俺の3人で家族みたいに年が越せるんだ、なんて思っていたから、その貴重な3人という人数から一人がぽいと除かれてしまっているだけで切なくなってしまう。こんなのをケイスケに知られたらアレなんだけどね。…。
俺はしばらくメモを持ったまま立ち尽くした。
5分ぐらいしてから、ゆっくりとメモを持ったまま歩き出して、2階のナツコの部屋の前に行く。
コンコン。
「はい。なんですの?」
「あ、えっと…あたしだけど」
「あら」
部屋の扉が開いた。
やっぱりナツコはホラー映画を見ていたみたいだ。2階からチェーンソーの音が聞こえてくるからどう考えても2階で丸太などを切って日曜大工をしているわけはないのだ。
「ケイスケが今日居ないから、夜ご飯買いに行くか食べに行くしかないみたい…」と俺は持っていたメモを見せながら言った。
「食事はきっと…予約で埋まっているか人が沢山いますわ…わたくし、パニック症候群ですから人が多いところでは食事が出来ませんの。スーパーに食材を買いに行くしかありませんわね」
「うん」
「今すぐ行きましょう。雪が積もってしまいますわ」
数分してから2階からナツコが降りてきた。と同時に、玄関から物音がした。俺はケイスケが帰ってきたんじゃないかっていう僅かな期待を寄せて玄関へ向かった。だがそこに居たのは4本足で移動していたのか背中に5センチぐらいの雪を積もらせてガタガタと震えているにぃぁだった。そういえば猫だから体毛が寒さを防ぐはずとかいう変な考えでにぃぁの制服はずっと夏服のままだった…よく考えたら毛皮に覆われているのは耳と尻尾だけじゃん。
「にぃぃぃぁぁぁぁぁ…ぁぁぁ…ぁぁぁぁあん」
「ったく、何やってるんだよ」
と俺はにぃぁの背中の雪を叩き落した。
とりあえずこいつを一人家に置いておくのもアレだし、3人(2人+1匹)で買い物に行くか。