21 タイガー・ランペイジ 4

高架橋の上から飛び立って俺はタイガーが暴れている近くに着陸した。
さっそく武器リストを開いてからプラズマライフルを取り出して長距離射撃をやろうと思った…んだけど、あれ?武器リストにはグラビティブレードしかないよ?あれ?
「ないないない!!!ないぃぃぃ!!!」
慌てて俺は霧雨AIに通信した。
『ヤバイ、ない!色々ない!』
『何が無いのですか?生理ですか?』
『生理は最初からない!武器がないんだよぉぉぉ!!!』
『キミカさんの装備がないという事ですか?』
『ない!!!!!!詰んだ…』
通信が霧雨AIからミサトさんに切り替わる。
『装備がないってどういう事?』
『デブが装備を入れ忘れてる…』
『デ…石見博士ね?…エロゲを買いに行ってるんでしたっけ?連絡がつかないのよね』
『あんのクソ野郎ゥゥ…』
ミサトさんとの通信の間に別の人からも通信が入る。あ、デブじゃん。
『キミカちゃん何してるんですかぉ?』
『何してるじゃない!!戦闘中だよ!!』
『なんで戦闘としてるんですかぉ…今武器メンテナンス中なのに』
『マ…ジ…ですか…』
『でも新装備を搭載しましたにゃん!!』
新装備?俺は武器リストをもう一回念入りに見てみた。やっぱりグラビティブレードしかない。てか、この刀だって整備中とかで使えないんじゃないのか…?俺はひとまず刀を取り出してみる。街灯を斬りつけてみる。横一文字に切れて倒れる街灯。ふむ。なるほど、これは使えそうだな。
『新装備とか無いんだけど…』
『あぁ、武器ではないですぉ』
『まさか格好が変わってるとかじゃないよね?』
俺は近くにあった大きなガラス窓に自分の姿を映しだして見る。格好も変わってはないな。
『今までプラズマフィールドで攻撃を防御していたけど、それに加えてグラビティディフレクターを使えるようにしたにゃん』
『ほうほう…でかした。これで素っ裸で砲弾の雨の中に突っ込んでいって無双できそう。やればできるじゃん?』
『あぁ…そういうのとは違いますにぃ。プラズマフィールドはキミカちゃんが意識しなくても自動的に発動して攻撃を防ぐけど、グラビティディフレクターは自動では使えないにぃ。意識してフィールドを放出しないと。しかもプラズマのほうは放出ベクトルは360度全方向に対してグラビティディフレクターは1方向のみですにゃん』
『使いづらいじゃん!』
『ふふふ…ふひぃ。あなどることなかれ。プラズマフィールドは何回か攻撃を受けると消えて再充填されるまで待たなきゃいけないのに対して、グラビティディフレクターは再充填を待たなくてもちょっと待てばドロイドバスターに変身している間は何回でも使えるし、耐久力もプラズマの比ではないですにぃ』
『すげぇじゃん!』
よし。グラビティディフレクターで防御しながら一気に距離を縮めて叩き斬るか。