終末論シリーズを私なりに解釈してみました - 3 - 「ワンダーラスト」

いよいよ終末が訪れます。
ところで、この歌は発表の時系列だと最初だったんですね。この歌が考えられた時から既に他のストーリーも考えられていたとは、スターウォーズを彷彿とさせます…。
前回の僕らの16bit戦争では人々は争っていました。
おそらくどこかのタイミングで核か何かの攻撃が世界中で行われてしまい、住んでいる星の環境は既に取り返しがつかないレベルまで破壊されているのでしょう。もう人々は争いはやめていたと思われます。ですが、元には戻れない世界で絶望します。
今回の主人公は人ではなくアンドロイド、おそらくは歌を歌う専門のアンドロイドです。

ワンダーラスト

D
終わらない歌を歌おう。
世界が終わる前に…僕が終わる前に。
そうすればずっと君の側にいることができる。

ふと旅に出たくなるように ヒトは皆
眠る場所を求めるものだと 
君は云うけど−。
僕が“終末”を 知ったときには 此処はもう
暖かくも寒くも無い 速度で 落ちていた

「旅に出たくなるように人は皆、眠る場所を求める」
と語る「君」
これはアンドロイドである「僕」に死の概念を教えようとしていた。
だがその概念のない「僕」はもう世界は終わりに近付いているのだから、旅に出ても死んだような世界ばかりで、危険なだけ。そしてぐっすりと眠れるような場所はないと考えた。
アンドロイドには死後の世界へ旅立つという概念もなければ、眠るという意味も「死ぬ事」だと受け取れない。

“カミサマ”が もしも居たとしても
大きな空 溢れるほどの虹 架けてくれなくても良い
『唯一つ 願いをかけるとしたら…?』
君のもとへ"うた"を届けたい
メグル メグル 最後の 廻音(メロディ)

「君」から神様の概念を教わる。
そして神様は人々の願いを叶えるものだとも。
しかし「僕」はその神様に人々を救って元の世界へと戻してほしい、とは思っていない。絶望に包まれた世界で「君」のもとへ歌を届けて欲しいと願った。
終わらない歌を。

君が笑ってくれるのなら 僕は
消えてしまっても 構わないから
君が涙の海に身を投げても
握りしめた手 
離さないから

「君」は命の灯火は限界にきている。
それを見ている「僕」には死の概念がわからない。
「君」は自分の命が無くなる事や「僕」と逢えなくなる事を感じて涙を流す。「君」にいつものように笑って欲しいと願って手を強く握りしめる「僕」

白い嘘だらけの世界なんてもう
消えてしまっても 構わないから
『旅の終わりの 夢に見た存在(もの)に 僕は−
 なれますように なれますように』

「君」は亡くなった。
「君」の居ない世界には色はなく、そんな世界は偽りだと嘆く「僕」。嘘の世界など無くなってしまえばいいと願った。
そして以前「君」と神様について話した事を思い出す。
いつしか、自分もその神様になって、ずっと「君」のそばに居たいと願った。

オワラナイ ウタヲ ウタオウ
僕ガ 終ワッテ シマウ マエニ…
オワラナイ ウタヲ ウタオウ
僕ガ 終ワッテ シマウ マエニ…
オワラナイ ウタヲ ウタオウ
僕ガ 終ワッテ シマウ マエニ…
オワラナイ ウタヲ ウタオウ
僕ガ 終ワッテ シマウ マエニ…
オワラナイ ウタヲ ウタオウ
僕ガ 終ワッ

メンテナンスが行われないアンドロイドはいずれ壊れてしまう。
それは「僕」も同様だった。
自分が終わってしまう前に「終わらない歌」を歌おうとする。
それが旅だった「君」へ届くと信じて。
そして「僕」にも終わりが訪れる。
…世界にも。

次回は、いよいよラスト「ハロー、プラネット」です