16 妹救出作戦 4

ポッドの周囲にから鳴り響いていた轟音やら、地面が近づいている事を告げるブザー音が消えた。俺は開閉ボタンを押して扉をあけ…ようとするんだけど開かない。
タチコマ?いる?』
『いるよ〜』
『扉が開かないよ、助けて』
『ちょっと待って、今掘り起こしてるところだから』
『掘り…え?』
扉が開くと土が入ってきた。どうやらポッドは思いっきり地中に突っ込んだっぽい。っていうかタチコマはどうやってポッドからでたのかな?
「あーもう、土…」
「キミカさん、ちゃんと空中脱出しないとダメですよ〜。ほんと、不器用なんだから」
「空中脱出!?聞いてないよ!そんなの」
「ボクが編み出した技です」
「…」
周囲はちょっと熱帯っぽいジャングルな感じの林。今の時刻はまだ日があけていない5時。ここあら1キロ先に研究所があるわけだね。さ、歩くか。
と、進んではみたものの、どっちが研究所かわかんない。
タチコマ、どっちが研究所?」
「ちょっとまってー。いまGoogle先生に聞いてみる〜」
「…」
「ダメだ、圏外だぁ」
「…」
GPS信号はキャッチしてるけど地図がダウンロード出来ないや」
「…」
軍の専用電波ならどうかな?
ミサトさん
お、通じたっぽい。
『あら、無事?』
『うん、全然大丈夫。今降下地点にいるよ。まだそこから動いてない。今から研究所に向かうけど、どっちに行けばいいかな?』
『あら、タチコマが地図持ってるわよ』
『え、マジで?なんかGoogle先生がどうとか言ってるんだけど』
『地図持ってるか?って聞いたら持ってるって言ってたから…』
『…』
タチコマァァァ!!!」
「ん〜?」
「地図ってまさかGoogle先生の事じゃないよね?」
「うーん。ハワイだから圏内だと思ったんだけど」
タチコマ…マジ…」
まぁ1キロ圏内なはずだからうろつけばひょっとしたら研究所がどっちにあるのか示す看板ぐらいはあるだろう。いや、待てよ、なんか俺、人間様の視点で考えていたな。そうだよね、そうだった。俺は鳥様になれるんだった。
「おおおおお!凄い凄い!」
タチコマが驚いている。そりゃ無理は無い。人間様だった俺が鳥様の如く宙に浮いているんだから。そのまま俺は上昇して空高くから地表の愚民どもを見渡す、と、森を抜けた先には住宅地。え?あ、逆か。逆方向には…あった。研究所らしき建物だ。他にはそれらしい大きな建物・敷地はないから多分これだろう。
俺は愚民が這いつくばっている地表へと戻ると、その愚民のロボットの一つ、タチコマに「それではいきましょう、わがしもべよ」と言った。
「むぅぅぅ!ボクも飛びたい!飛びたーい!」
「飛びたい?ならばクスリでも打ってもらいなさい」
「そっちの飛ぶじゃないよーっ!」
ウジ虫の如く地表を歩くタチコマの少し上を俺は飛びながら進む。研究所まで後少しだね。