16 妹救出作戦 1

岩国空軍基地にヘリが到着すると、そこには俺をハワイまで運ぶと言う輸送機らしきものが既に到着していて、スタンバイしていた。大きさは旅客機よりもちょっと小さいぐらい。ただ形は他の飛行機とは随分と違っていて、これがいわゆるステルス構造なのは後で教えてもらった。
「あぁ、そうだ。変身しとかないと」
ヘリを降りて俺がそう言うと、隣にいたミサトさんは目を輝かせて、「変身?!やって!やってみせて!一体どうやって変身するの?」と言った。
「あたしの近くにいたら危ないよ」
「分かった!ちょっと離れるわ。ポーズ取ったりするの?『変ッ身ッ!』とか言って腰のベルトがぐるぐる回転したりしないの?」
「しないよ」
そういえばデブは変身した時に俺の服が壊れたりするのをなんとかするって言ってたっけ。これで変身がとけた後に全裸にならなくてすむね。それじゃさっそく、俺は頭の中で変身をイメージ。俺の周囲が真っ黒な空間につつまr…あれ?なんか真っ黒の空間じゃなくて、黒い何かが俺の身体を炎のように包む。みるみる服が戦闘服に変わっていく!
「凄い…かっこいい!」
と言ったのはそれを見ていたミサトさんだ。
「わぉ…凄いな」
もしかして今までブラックホールみたいなのに包まれていたのは改良されたのかな。俺はそれを試してみようと、今まで武器は指で四角をつくってそこから現れた異次元空間から取り出していたけど、今度は単純に頭でイメージしてみた。
刀を取り出すイメージをして、
ん…。
俺の掌に黒い炎のようなものが現れ、それが俺の手を包むと刀が現れた。まるで炎の鞘から引っこ抜いたみたいだ。
「凄い!!凄い!!」
子供みたいに目を輝かせてミサトさんが拍手している。
ふむむ、これは凄いな。俺は刀を出したり鞘(という異次元空間)に引っ込めたりを繰り返した。刀以外にもデブに教えてもらった兵器を取り出しては締まったりを繰り返す。今まで指で四角をつくらなきゃ取り出せなかったけど、こうやって瞬時に取り出せるのはいいね。
そんなのをやっていると、ミサトさん以外の声がする。ギャラリーが増えてきてしまったのかな、ふふっ、恥ずかしいな。なんて思って、「凄い!凄い!」って言ってる声のする方向を見てみると、あれ?どこにも人が居ない。ミサトさんは別の方向にいるし。
「ん?誰かそこにいるの?」
「ここですよ!ここ!」
ここですよ、って言われてもなぁ、俺の目の前には多脚戦車のミニチュアみたいなドロイドが一体いるだけで、
「え?どこ?」
「ここ!こーこ!」
そのドロイドが前足を手みたいにして動かしているだけ…。え?こいつの声?
「んもー。失礼しちゃうなぁ〜」
なんだこの人間っぽい声を出すドロイドは?