14 囚われの妹 2

「早く着替えて来てにゃーん!!」
とデブが吠えるので自分は仕方なくデブが普段着用として渡してるあのブラウスと黒ニーソ、赤のスカートの姿でミサトさんの前に行く。
既に話は初めていた。
デブはどうやらあまりそのミサトという女性が好きではないみたいだ。さっきも玄関では「何の用事だにぃ!」とか言ってたような気がした。さっきは上がってくれとは言ってたけど、俺ですらもお茶やお菓子を出すデブが、そのミサトっていう女性が来ている今は何一つもてなしをしようとする気配はない。帰ってくれっていうメッセージのようにも見える。
「それで、何の用なんですかぉ」
「二つ用事があってきたの。一つは、分かってると思うけどキミカちゃんの事」
俺の事?
「軍には戻らないにぃ!」
「まぁ、話を聞いてそれから決めてよ。軍部はあなたの力を欲しがってるわ。キミカちゃんの中にある最新技術を既存兵器に転用出来ないか模索しているのよ」
「戦争の道具の為に作ったんじゃないにゃん…」
でも兵器の塊みたいなものだけどね…。そういう回答が返ってくるのも予測していたみたいだった。ミサトはちょっと表情を崩して笑ってから、
「でもメンテナンスだって、設備があるほうがいいでしょ。資金も軍から降りてくるし。まだまだ開発していきたいのじゃないの?」
しばしの間、デブは考えてから、
「戻らないって言ったら戻らないにゃん!イーっだ!」
う、うざい。
「あなたがいた頃とは随分変わったのよ。それに、これからキミカちゃんの力に頼らなきゃいけない事が沢山出て、」
「イーっだ!」
う、うぜぇ…。子供じゃないんだから…。
「わかった、わかったわよ。言い方が悪かったわ。軍に戻るっていうより、軍に協力して欲しいのよ。何も戦争をしましょうって話じゃないんだから。博士が戦争の道具を作るのが嫌で軍を出たのは知ってるわ。それでも、キミカちゃんを…つまり、また兵器を作ったのはわけがあるんでしょ?単に戦うためのものを作ったんじゃないって事でしょ?私達もそれには賛成してるのよ。それに、今から言う二つ目の用事も、博士のその考えに沿っているものだと思う」
それからミサトさんは、二つめの用事を話し始めた。