13 帰宅部のエース 5

勃起したままプールに飛び込んでいった水口先輩をみんなが笑って、なんかさっきのちょっとした緊張が溶けたと思った時、俺の背後のほう、更衣室のほうから歩いてくる足音。
「こらー!お前ら!何してるんだおー!」
なんか聞き覚えのある声。
またか。デブが来た。
「げ、石見先生、何しに来たの?」
とナノカが言う。
「ふぅ〜ふぅ〜!お前らよく聞くにゃん!今日から僕が顧問です」
マジかよ…。なんかデジャブ感じるんだけど…。
「えーッ!」「ちょっと、なんでだよ、体育の教師って感じじゃないじゃん」「このデブの先生誰?え?ナノカのとこの担任?え、ほんと?」「スラムダンクの顧問の先生みたいじゃね?」などと言われまくっている。
「黙れ黙れ!だまらっしゃい!」
吠えるデブ。
「上林先生はどうしたんですか?」
どうやら水泳部の顧問は上林先生らしい。
「上林先生は生理休暇で顧問をしばらくお休みするらしいですぉ…」
「上林先生、男性なんですけど…」
「…」
…。
「男性の生理ですぉ」
いや、ねーし。そんなの聞いたことねーし。
「(男性の生理?)」「(もしかして、オナニー?)」「(えっ、ちょっ…)」「(ひそひそ)」「やっぱりスラムダンクに出てたよね」
「とにかく!顧問は今日から僕ですにゃん。よろしくお願いするぉ」
俺はデブに近寄って、
「(何やってんだよ、どうやって顧問になったの?またデータ弄ったの?)」
「(ふふふ、天才に不可能はないのd)」
と言いかけた時、デブは俺のほうを見ながら、
「にぃぃぃぃ…」
と奇妙な泣き声を上げた。
「ぎゃああああ!先生勃起してる!さいてー!」「寄らないで!」「あはははは!!」「先生マジ…」「俺の中のスラダンのイメージが…」「石見菌〜!」
色んな罵倒の声が響き渡った。
「き、キミカちゃん、水着も似合うにゃん…」
「…」
こいつのあだ名は勃起先生とかになりそうだな…。
南無阿弥陀仏