13 帰宅部のエース 4

俺がプールサイドに登場するやいなや黄色い歓声に包まれた。
「きゃー!かわいいー!」「え、ちょっ、めちゃくちゃスタイルいいじゃん」「うわぁ…」というのは女子から、「うおお!マジか!」「ひょぇぇ…」「…(生唾を飲み込む音)」というのは男子からだ。
俺は真っ先に黄色い感性がする女子の方を見た。
水着!水着!水着!まさにスクール水着と競泳水着のパラダイス!俺は鼻血を出したあの先輩の鼻血を出している瞬間の気持ちが少しだけ理解できるような気がした。興奮してきて心拍数が上がって、血管を血液が突き破って出てきそうな気がするのだ。ここはなんていう天国なのでしょうか?
しかも、俺が想像していたのはちょっと肩幅のある以下にもスポーツしてます的なスタイルの女子達だったんだけど、今そこにいるのは本当に普通の女子がスクール水着やら競泳水着を着ている様だった。おっぱいは残念な大きさの人が多かったけどね。
「もう!キミカっち、何固まってるの?」
と、パンと俺の肩を叩いてナノカがみんなの前に手を引いて導いていく。あぁ、そうか自己紹介って奴か。
「えと、藤崎紀美香です。よろしくお願いします」
と軽く自己紹介したら、
「きゃー!声可愛い!」と声が…。おふぅ。
ふと思ったんだけど男子も女子も同じ?女子水泳部と男子水泳部は分かれてるって前聞いた気がしたんだけど…。
「ねぇ、ナノカ、男子と女子って部活が分かれてるんじゃないの?」
「わかれてないよ?あぁ、プールが小さいから交代交代で練習するしかないんだよね。え?なになに?恥ずかしいの?ふふふ…」
「そ、そういうわけじゃないけど…」
などと話していると、
「キャプテン、こんな可愛い子が入るって黙ってたのかよ?」
どうやらキャプテンって呼ばれてたのは以前俺とナノカとビッチが見学に来たときに居た鼻血を出して勃起していた先輩こと「水口明」だった。
「いや、俺も知らなかったし」
「説明してくれよー。みんなにもさ」
「だから、さっき彼女が自己紹介しただろ、それでいいじゃん」
「ここはキャプテンが紹介するべきだろ」
などと言い合っている。
ちょっと立ってみんなの前で説明するだけなのに何故か強く拒んでいる水口先輩。前にもこんな光景をみたような、みなかったような、俺はデジャブを感じていた。そういえばあのときも水口先輩がプールに入って俺とナノカに近寄るなと叫んで…。え?
もしかして:勃起?
俺はまさかと思いつつも、確認してみようと邪悪な考えがふと頭に思い浮かび、水口先輩の側に凄まじいスピードで近寄って、「水口先輩、紹介してくださいよ、なんでそんなに嫌がr」…勃起してる。フル勃起。
「ぼッ…」
「いやまて!違う!これは違うから!」
誤解を真っ赤な顔をして天に向かって硬直しているムスコさんを手で隠しながら叫んでいる水口先輩。
「ぎゃああああ!水口先輩また勃起してる!さいてー!」「寄らないで!」「あはははは!!」「お前最低だな…」「水口菌〜!」
などと罵倒されまくっている。
俺はすかさず、
「先輩、勃起はマッサージをすると収まるらしいですよッ」と素早く水口先輩の太もも付近まで手を伸ばそうとしたその時、
「うおおおおお!」
と俺の手を振りほどいて水口先輩はプールの中へと飛び込んでいった。