11 東アジア開放戦線 1

「ただいまーっ」
俺はスカーレットとの戦闘を終えて、戦闘服のまま帰宅した。っていうか学生服とか変身したときに完全に吹き飛んじゃったと思うからしようがない。
「見てたお!見てたお!はぁはぁ…」
「テレビに出てたの?」
「ふひひ…ちゃんと録画したにゃん」
「ほほぅ」
ニュースは録画の映像を流しているわけじゃなくて、俺が帰ってからの時間でだいたいやってるニュース番組だった。
そこには俺とスカーレットとの戦闘の1シーンが映されている。あのビルからビルへと弾き飛ばされ、その後スカーレットと会話をしているシーンだった。
「ニュースに映ってるのってここだけ?」
「ですぉ。テレビ局のヘリが上空から映してたみたいですぉ」
ニュースキャスターは、
『女の子です、女の子がビルの壁を突き破って反対側のビルに飛ばされました!大丈夫でしょうか?』
と言っている。あぁ、これは生放送してる中継の時のキャスターの声だね。それとビルを突き破って反対側のビルの壁を突き抜けていく女の子は大抵はそこで即死しますよ。
それから俺がライフルでSM野郎…じゃなかったスカーレットのババアを狙撃するシーン、それからスカーレットの姿もカメラは捉えていた。
その映像を見た後に場面はスタジオに戻って、なんたら評論家だとかなんとかテレビ局長だとかが色々とコメントを言う。
『テロリスト同士の抗争でしょうか?』『うーん、今はなんとも言えませんね』『どちらの女性も人間離れした特殊な力を操るようです』『大戦中に軍が開発したものがテロリストの間に流れ出ているのではないか、との声もありますが』
俺はテーブルについてからニュースを見ながら、デブが用意していた夕食を食べていた。今日はペペロンチーノとサラダとガーリックトーストか。もぐもぐ。
「ああ、そうだ、制服が吹き飛んじゃったよ」
「そうですかぉ、まぁ、予備が沢山あるから大丈夫にゃん」
「おぉ〜。よかったよかった」
「閲覧用、保存用、抱き枕用に布教用…」
「…ちゃんと洗濯した奴が着たい…」
「だ、大丈夫ですぉ!ちゃんと洗濯して洗剤のほのかな香りがする仕上がりにして、抱きしめたときにそれがふわっ香ってくるようにしますお…フヒヒヒヒッ」
「それにしてもマスコミはあたしをテロリストの一味だとか言って、ほんと言いたい放題だよね。正義の味方なのに」
「え…そこ、スルー…?」
「もうキモ芸とかいちいち反応するの面倒臭い…」
「…」
「それより、分析ってやつはできた?」
俺はデブがあまり食べない野菜サラダをもさもさと食べながら聞く。デブは普段から炭水化物やら肉類を沢山食べてた。俺がここに来たときは野菜という存在すらなかったけど、俺は親に養ってもらっている時から肉や野菜のバランスを取りながら食事していたので野菜も作ってくれと頼んだところ出てきたのがボールに入った大量の野菜。もちろん感謝してるよ、野菜さんも食事を与えてくれるおデブちゃんにも。
デブはテーブルの上にあったちょっとアンティークな感じのリモコンをいじる。すると、ちょっと前にも見せてもらったホログラム装置が壁から現れて、そこへ出力される画像で説明してくれた。