10 スカーレット様登場! 4

今の間で何とか最初のスカーレットの一撃で出力の落ちてた俺のバリアが復旧し始めた。でもまたあのパンチを喰らったら振り出しに戻る。馬鹿みたいに正面から突っ込んでいってもダメか。
『ちょっと、バリアが強すぎて全然倒せそうにないんだけど』
『うーん…今テレビを見る限り、そのSM女王様が使っているのはキミカちゃんが使えるプラズマフィールド…プラズマバリアと同じものなんですぉ…でもちょっと…違うのかにぃ?わかんないにゃん』
『それはあいつを倒す方法が思い浮かばないって事?』
『にゃーん…』
『にゃーん、じゃないよもう…』
『もうちょっとデータが欲しいにゃん。接近して戦うとかできますかお?』
「あぁ、クソッ。負け戦だったらやりたくないんだけどな」
俺は周囲の瓦礫やらを自分の周りでくるくると回転させた。バリアにはならないだろうけど、周囲に動くものがたくさんあると若干は俺への奴のダメージが通らないと考えた、っていうか、間違って周囲の瓦礫を殴らないかな?という戦略でもある。
その状態でジャンプ、そして一気にスカーレットに接近した。
「武器がダメなら」
俺はスカーレットの奴にさっきやられた仕返しの意味を込めて、右の頬を打たれたら、左の頬を打ち返しなさい、って誰かが言ってたからそれを実行してやった。俺のパンチがスカーレットの左側に食らい込む…だが、奴は軽くその手を手で塞ぎやがった!なら右側…!右のパンチを…あぅ、やっぱり止められた。こいつ、バリアだけじゃない、かなり動きも速いぞ。
「ふん、やっぱりお嬢ちゃんは『お嬢ちゃん』ね。赤子に刺されたほどでもないわ」
え、赤子って刺すのかよ…怖えぇ。いや、それを言うなら「蚊に刺されたほどでもない」、か「赤子の手を撚るようなもの」とかじゃないか…。って考えていたら、
奴のケリが俺の懐めがけて飛んできた。スローでそれが見えた。俺は素早く腕でそれを防御、したけど、ぜんぜん意味ない。奴のケリが俺の身体に当たる前に俺のプラズマフィールドが展開されてある程度は防御していくけど、それがブチブチと壊れているのがスローでわかる。クソッ、マジでやべぇ。
今度は俺は奴の蹴りが放たれた方向へと吹き飛ばされた。品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って品物を突き破って壁を突き破って…、あぁもうコピー&ペーストするのが面倒臭い。とにかく色々突き破りながら吹き飛ばされた。
だがそう何度も飽きずに吹き飛ばされる俺じゃない。
俺は指で四角を組んで武器リストからプラズマライフルを取り出す。ちなみに吹き飛ばされている間だけど。そして、ライフルを構えて照準を奴へ合わせて吹き飛ばされながら「オラオラオラ!!!」と撃ちまくった。奴の周囲のバリアがまたそれを防ぐ、けど、俺は自分のバリアが砕かれた後、再度展開するまで時間がかかる事を知っている。つまり無限じゃない。奴のバリアも尽きる時があるって事だ。
でも、なかなか尽きない…じゃん。どうなってんのよコレ。プラズマライフルの弾のほうが早く尽きるんじゃないの。
俺はグラビティコントロールを吹き飛ばされている反対方向へ働かせて体勢を維持した。かなり派手に吹き飛ばされて目視じゃ見えない距離にいる。光学スキャンで奴を確認すると、どうやら警察だか軍だかのドロイドの囲まれて一斉射撃を受けている。あ、逃げた。逃げたぞ!バリアが切れそうなんだ!
俺はヒーローにあるまじき、いわゆる「敵が弱った時に」卑怯にも攻撃をするってのをやろうとした。けども、何故か警官やら軍やらのドロイドは俺のほうにも一斉射撃してきやがってこっちの残り少ないバリアが切れそうになってるっての。こいつらは…。もういっそプロトンビーム砲で焼き殺すか、全部。
「あーもうッ…ずらかるか…」
俺は周囲のフロアの地面のコンクリやら品物を一気に自分の周りに集めて銃弾を防ぐと、以前脱出したみたいに、そのどさくさに紛れてショッピングモールの壁を突き破って逃げた。