10 スカーレット様登場! 3

俺はショッピングモールから吹き飛ばされて今は反対側にある雑居ビルの壁を突き破って何かの部屋にいる。一方でSMぽい格好の年齢は40代ぐらいの女はショッピングモールから俺を「したり顔」で見下ろしている。そしてそこから俺は奴に向かって話し掛けたのだ。
「悪いけど、あたしは、そういう『これから勝負してあげるわ』って表情が嫌いなの」
「勝負じゃないわ、これから殺してあげるって表情よ」
余裕でそんな台詞を吐きやがる。やっぱりパンチを食らわしてきたんはこいつだ。それにしても何者なんだ?俺の妨害をしてきたからさっきの強盗団の一人だろうと思うんだけど、こんな恥ずかしい格好の奴っていたっけ?あの覆面の女か?
「それよりもそのSMっぽい格好はなに?」
「な…」
「ちょっと年齢に沿わない格好だよ」
「え、ちょっ」
「恥ずかしくないの?っていうか、ちゃんと下の毛の処理とかしてきたの?はみ出てたらどんなに強がっても女として負けてると思うよ。いや、その年齢でそのセンスっていう時点で女としてアレだけど…」
「ふざけるなーっ!!これは私の戦闘服なのよ!変身したらこれになるの!私の趣味じゃないの!」
戦闘服?変身?って、俺と同じ事を言ってるぞ。
『ちょっと!!あたしと同じ様に変身する敵が出てきたよ!』
『ま、マジ…ですかぉ?』
『マジマジ大マジ』
『そ、そりは想定外…』
「あのテロリスト共の仲間?」
「テロリスト?ちょっと人聞きが悪いわね。テロリストじゃないのよ、お嬢ちゃん」
「じゃあ強盗団?」
「ふっ…私の事は『スカーレット様』とお呼び。東アジア開放戦線の技術を結集した戦闘サイボーグよ!そして東アジア開放戦線はテロリストじゃないわ。大日本帝国に国を追われた多くの同士により結成された反政府、反日組織よ!」
「え、それをテロリストっていうんじゃないの…」
「ちっがーう!戦争よ!戦争をしてんの!あなた達は敵国。敵国のあなた達から見て私は何?何に見えるの?テロリスト?」
「あぁ、敵国の兵士?」
「そうそう。そういう事」
「まぁどっちでもいいや…」
「…」
「…」
「ぶっ殺すわ」
スカーレットは俺と同じ様にグラビティコントロールを使えるのか、周囲の瓦礫などを一瞬で吹き飛ばした。肩まである髪がふわふわと浮いている。そしてその最初の波動に混じって六角形状の何か半透明なもの、ちょうど俺が銃弾を喰らったときに俺の周囲に展開されていたバリアみたいなのが飛んでいる。
俺はスカーレットと話をしている間にも武器リストを色々と見ていて、奴をこの距離で狙撃できるもの、つまり、プラズマライフルを出していた。すぐさま照準を奴に合わせて放つ。
「殺すってのはこっちの台詞よ!」
バンッ。
奴にとっては死界になっていた壁から照準を合わせていた。壁は綺麗にくっきりと貫通痕が残り、そのままスカーレットのお腹に弾が命中…した。けど、またあの六家計のバリアが現れた。そして弾を防ぎきってしまった。
「けッ、ばーか」
クソッ、バカとか言いやがった。バカって言った奴がバカなんだぞ。
「このババァ…」
「バッ…」
「クソババア」
「クッ…」
「アラフォー、婚活女子(笑)、お一人様、羊水腐り系、肉食系ババア、売れ残り、垂れ乳、合コンの頭数野郎」
「言うな!言うなぁぁぁぁぁああぁぁぁ!殺す!絶対に殺す!八つ裂きにして殺す!手足を全部切り落として豚小屋に落としてやる!!」
「ひょええぇぇ〜こわーい」
と、俺はここでさらにお尻を奴に向けて、ぺんぺん、と叩いて、
「ここまでおーいで」
と挑発してみる。でも奴はこっちに飛んでこない。そうか、奴のはグラビティコントロールじゃないぞ。あの衝撃波はバリアがさらに拡張されたものなんだ。でも…つまりはバリアがやたらと強いから奴を倒す事は難しいな。
「あ、あんたこそこっちに来なさいよ」
「いや、そっちがあたしを殴って吹き飛ばしたんでしょ」
「そうだけど、とにかくこっちに来なさいよ。もう一回殴ってやるから」
「殴ってやると言われてそっちにいくバカはいない」
「あ、あぁそう。じゃあ、このショッピングモールにいる人は全部殺すわ。人質をとるわ」
クソッ。卑怯者が!っていうか、向かっていかない俺も卑怯者かもしんないけど、それはおいといて。これはまずいことになったぞ。とりあえず一言定番を言っておくか。
「卑怯者!」
「ふん、なんとでも言えば?」
「クソババア、アラフォー、婚活女子(笑)、お一人様、羊水腐り系、肉食系ババア、売れ残り、垂れ乳、合コンの頭数野郎」
「おいおいおいおい!それは言うな!言うなああぁぁぁ!!」