10 スカーレット様登場! 1

ビッチを抱き抱えたまま空を飛ぶと一人で飛んでいる時よりもより強いGがかかっているような気がする。
俺はそのままモールの正面巨大ガラスを突き破って空へと飛び立って、そのままモールの屋上まで上昇した。そして緩やかに着地。
ビッチはへなへなと腰をおろした。
「安全なところに避難してて」
俺がそう言うと、ビッチは何故か「うん」とか「わかった」とか、そういう返事じゃなくて「はい」と言った。なんだか違和感があるな…。
俺は再び宝石店を襲っている強盗団どもを懲らしめなきゃいけない。懲らしめるってのは一般ヒーローのそれとは違う。俺はそんなに「やさしく」ないぜ?つまり、警察や法の元で裁かれるんじゃなくて、「俺に裁かれる」って事だ。もう人を一人殺してるんだ。首を洗って裁きを待ってろ!
俺は再び周囲の重力場を制御して空に飛び立って、そのままさっきの宝石店へと行こうとした…。ところで俺はさっきと状況が変わっているのを知ったのだ。
モールの正面に大きな多脚戦車が腰を据えている。これはどう考えても警察や軍のものじゃない。俺が以前戦った奴を同じじゃねーか。こいつら強盗なんかじゃない。テロリストだ。
俺は空からその多脚戦車を見下ろしていた。怒りでわなわなと身体が震えるのがわかった。両親を殺したクソテロリストの野郎どもがまた街を襲っている。さっきは赤子の手をひねるような意味で言ったけど、ちょっと本気にさせてもらうかな。
でもさすがにプロトンビーム砲やBFGを、まだ人が完全に撤退していない街中で使うのはヤバイ。また俺はグラビティブレードを武器リストから取り出した。
「今回は一撃で『しまい』にしてやるぜ」
俺は最大限のグラビティコントロールを戦車の周囲に集中させて、アスファルトの塊を戦車を中心にして集めまくった。突然何が起きたかわからず、大慌てになっている戦車野郎。
一気に加速して物体が地面に落ちるスピードよりも速く、速く、俺は周囲から見れば黒い塊になるんじゃねーのかっていうぐらいに加速して、身動きも取れなくなり、砲塔もファランクスも向こうになったポンコツ戦車に刀を振り下ろした。
「とりあえず、ボスクラスの敵は一丁あがり」
真っ二つになった戦車の中央で俺は次のターゲットを見据えた。
次のターゲットは強盗団ども、いや、テロリストどもだ。