9 初デート 1

結局俺は部活に入ることは今は保留にしておいた。
ビッチのあのギラギラした目で(本人にギラギラした目をしているよ?と言っても絶対にうんとは言わないだろうけど、俺にはそう見える)部活で勝負をかけられるのも面倒臭い。これは逃げているわけじゃないよ?
というわけで、その日は普通に登校して普通に授業を受けて普通に帰ろうかな、と思っていた。そしたらビッチのほうから話し掛けてくるのだ。
「いつも一人で帰ってるの?」
「ん。うん」
それから少し考えた様な素振りの後でビッチは、
「今日一緒に帰らない?」
なんだろ、わざわざ嫌いな奴(ビッチにとって俺はライバルみたいなものだから)と一緒に帰るという心理は分からない。いや、実はちょっとわかるのだけど、ようはライバル意識を持っている奴の隣にわざと自分を置くことで自分の経験を積むって奴。あの心理は俺にはわかんないな。
「部活とかは大丈夫なの?」と聞いてみると、
「別に大丈夫よ、毎日でなきゃいけないわけじゃないし」
なんか、その理由も理由として変だなぁ…と思ったのは、その後、いつもの放課後のようにナノカがクラスにやってきて「ユウカ、部活行かないの?」と言ってきたからだ。
「今日は帰る」とそれに返すユウカ。
「あーそう。それじゃ私も帰ろっと」
え…。どういう理屈なんかな。
「キミカっちが帰りにどういうところで寄り道してるのか気になるし」
「寄り道なんてしてないよ…家まで一直線です」
この日寄り道をするか別として、3人で一緒に帰ることになった。っていうか、多分この勢いだとまっすぐに家に帰るんじゃなくて寄り道しそうだな。