8 動く大殺戮兵器 3

とりあえず名前は見ないで全部の武器を引っ張り出してみた。机の上には今から戦争にでも出かけるのかっていうぐらいに物騒なものが並んでいる。どれも見たことがないようなデザインの銃だ。
「よーし。一つ一つ説明していってよ」
俺はまず一つを取り出す。その形状はどちらかと言えば普通に軍隊で使っているマシンガンっぽい。これもコスチュームに同じく黒を基準としたデザインで、大きさはちょっと俺が(女の子が)持つには大きなサイズではある。
「それは『レールガン』だにゃん」
「れーるがん?」
超電磁砲。電気の力で銃弾を高速に連続して撃ち出すものですぉ。軍艦とかについてるファランクスっていうミサイルや砲弾を弾幕で防ぐ時とかに使われてるマシンガンですぉ」
「すっげ…。でも戦車とか装甲が分厚いのを貫通するにはちょっと辛いのかな?やっぱり」
「ん、まぁ…(とメガネをキリと上げる)」
「んじゃ、次は…」
その隣に置いてあるのは弾丸の射出口がかなり派手に凹の形になってる武器だ。まるでカタパルトみたいな形。それでいてかなりの長身で、これもまた女の子が持つにはちょっと大きい。っていうか、これを持って戦車の周りをウロウロするのは身動きが取り辛そうだな。なんとなくだけど長距離狙撃をする為の武器って感じがする。
「それは『プラズマライフル』。レールガンが高速に弾丸を撃ち出すのに対して、プラズマライフルはプラズマエネルギーで高速かつ長距離でも威力が落ちないように弾を撃ち出して、弾と周囲のプラズマエネルギーごと対象にぶつける事が出来る銃だにゃん」
「…これがあればあんなに近づいて刀ブン回さなくてもよかったじゃん!危険な事させて…ちっくしょう…」
「ま、まぁ、戦車の装甲を貫くには装甲の弱い部分を狙うか、同じ箇所を狙うかしなきゃいけないんですぉ」
「…」
さぁ、次だ次。
その隣にあるのは、これはわかるぞ。ショットガンの形をしている。けども、腕に巻き付けるようになっているのかな?俺はそのショットガン形状の武器を手に持ってみた。すると、それはまるで持ち主を選んで「お前に決めた」っていう感じで俺の腕に巻き付いてきた。巻き付いてきても絞めつけて手が鬱血するとかちぎれたりするような事はないんだ。あくまでも自然に。
「それは『ショックカノン』ですぉ。まぁ、波動砲とかいう武器かにぃ」
波動砲!!」
「うんうん」
「すごい!これが宇宙戦艦ヤマトに搭載されていたという…」
「…ち、違いますぉ。なんでそんな白亜紀に放送されてたようなアニメの話をするんですかお…ダークマター変換炉のエネルギーを衝撃波に変換して放出するにゃん。だから波動(衝撃波)砲」
「まぁ、別にどっちでもいいや」
「…」
「っていうことは、この武器ってあたししか使えないのかな?」
「ですぉ〜」
なるほど、それでこの武器、俺の腕に巻きつくように装着されるのか。ってことは…。
「変身した後じゃないと使えない武器?」
「ですぉ〜」
ふむふむ。
それじゃ次にいくか。
これが最後の武器なのだけれど、マジで大きい。口径は20センチぐらいはあるかもしれない。長さは俺の(女の)身長よりもちょっと小さい。10センチぐらい小さいぐらい。っていうか、これ重くて持てない。引っ張り出したときにあまりの重さに床に落としてしまって、危うくデブの足をぺっちゃんこにするところだったし、床にちょっと傷をつけてしまった。
「これは…あたしが当ててみようかな。この武器の名前は…『ブラックロックシューター』!!」
「なんですかぉ、その中二病末期患者がつけるようなセンスの名前は」
いやお前に言われたくねーよ。
「それは『BFG』ですぉ」
「なにそれ、なんなのその中二病末期患者がつけるようなセンスの名前は…うりうり」と言いながら俺はデブのほっぺたをツンツンとやった。
「ちゅ、中二病じゃないやい…」
「で、BFGって何の略なの?まさかゴロがよかったからつけたってわけじゃないよね?」
「BFGは…BFGですぉ…」
「えー。本当に〜?大文字英語表記は略語なんだよ〜?知らなかったの〜?知らないのに作れた武器なの〜?うりうり」と俺はしつこくデブのほっぺたをツンツン。
「こ、これは武器の愛称みたいなもので、今までの武器名みたいに、仕組みからついた名前じゃないのですぉ。ちなみにBFGはBig Friendly Giant。大きくて人懐こい巨人。絵本の中に登場してくる巨人の名前ですぉ」
「ふーん…。それで、一体どんな武器なの?」
「命中した箇所を中心に位相空間のバランスを崩して物質全てに化学反応を起こす…という危険な武器ですぉ。人が喰らったらあっちゅうまにミンチに、装甲の分厚い兵器でも中から壊すし…」
「へぇ〜。それじゃコレ使えばすぐに敵が倒せるんじゃないのかな?」
「…実は弾速が結構トロくて、撃っても避けられたらダメだにゃん。固定砲台だとか建物だとか動かない奴にしか…」
「まぁ、一長一短があるって事なのかな…」
「うん…」