7 学園見学ツアー 9

「やり方はまぁわかったけど、ルールがわかんないよ」
ビッチはそれを聞いて「はぁ」とため息をついたあと(ルール知らないのはしょうがないじゃん。生まれた瞬間から知ってて当然って顔しやがって、マジでぶん殴ってやろうかと思った)、「最初はサーブで打ち始めて、相手のコートに入れてそれを相手が返せなかったらアウト、返しても自分のコートに入らなかったらアウト」
なるほど。卓球みたいなものなのか。実は俺は高校では帰宅部だが中学では卓球部だったのだ。廃部寸前で俺が途中で帰宅部に移行したら廃部になったんじゃないかな…。あれは迷惑な事をしてしまった。けど、受験勉強とかもうちょっと早くからやりたかったんだよ。
「卓球知ってるなら大丈夫ね。それじゃサーブあたしからね」
こいつ、とことん性根が腐ってるな。初心者相手に手加減無しでサーブ権も自分からかよ。もう少し大人になろうぜ、ビッチさんよぉ。
ビッチのサーブ。
ボールをぽんっと上に上げたと思うと、それを上からラケットで叩きつけるように打ち付けた。俺のコートにテニスボールが飛び込んでくる。俺の足が届かない位置に…。
「あ…」
っというまに1点入れられた。
さすがに初心者相手の本気サーブはギャラリー達を「あーあ」とか「ひでぇ」とか言わせた。でもビッチ、腕を緩めるような事はしない。どうもそれは周知の事らしく、ビッチは厳しくも優しい先輩()笑、らしいのだ。さっきのあのエロ男がうんうんと頷きながら、満足気な笑みをしている。
「(ちっ…野郎…)」
俺はちょっと汚い言葉を聞こえないように吐いた。さて、次も思いっきり打ってくるだろう。だが俺は銃弾すらも弾き返せる動体視力がある。奴の攻撃なんて俺にはかすりもしないぜ。いや、ラケットにかすりもしなかったらヤバイ。次は奴の動きを見てラケットの角度から計算してどこに飛ぶかを、って思った瞬間にまた激しいサーブ。
だが見えた!
俺は渾身の力を込めてボールを弾き返した。その瞬間、俺の周囲の砂というか砂埃?というか、一瞬無重力状態になったような感じになり、弾き返したテニスボールがありえないぐらいのスピードでビッチの頬をかすめて後方へと飛んでいった…。おい、これはなんだ…。
「な…」
ビッチはそう言った。頬からツーっと血が垂れてる。
もしかして重力制御がある程度出来ているのか?さっきの走り高跳びじゃねーけど、変身した時と比べると小さいものの、若干色々な力が使えるのかもしれないぞ。
ビッチは「ちょっと!相手に当てるゲームじゃないのよ?わかってんの?今絶対顔狙ったでしょ?ねぇ?」と顔真っ赤にして怒ってる。うるさい奴だな〜(ほじほじ
俺はジョジョっぽく、周囲にゴゴゴゴゴゴって効果音でも鳴り響いているかのような状況を頭に思い浮かべながら、
「わかったわ。次はちゃんと 狙 う か ら 」(ゴゴゴゴゴゴゴゴ)
ビッチの頬がピクピク動いてるのがこの距離でもわかった。笑
「ふーん…そう。あぁそう。いいのね。私が本気出しても?」
おい、今まで本気で打ってきたように見えたぞ。
「いいよ〜(ホジホジ」
でも「本気」っていうキーワードを聞いた周囲のギャラリー連中はヒソヒソ声をし始める。こいつ本当に本気はまだ出していなかったという事か。
サーブは俺。
俺はとりあえず相手のコートに入れなきゃダメなので、若干緩めにぽーんとボールを放った。弧を描いてビッチのコートにボールが入る。と、待っていたかのようにビッチはそのボールをフルスイング。俺が面倒臭いけどちょっと力をだして走りこまなきゃ届かないような場所に入れた。しかたない、面倒臭いけどそのボールを俺は辛うじて弾き返す。次にビッチはまた俺が居ないような場所に入れるはずだと思って、コートの中央に戻ろうとしたその瞬間。
バンッ。
俺のオデコに衝撃波が…。
「い、痛い」
ぽとんとテニスボールが落ちる。
こいつ…やりやがったな…。