7 学園見学ツアー 1

放課後。
俺はビッチに校内を案内してもらう約束だったのだ。
俺の席のもとにビッチとお昼一緒にご飯食べてた菅原菜乃香が来てくれた。菜乃香は頭を掻きむしったような痕跡が残っていてあのショートカットがぐしゃぐしゃになっていた。
「その頭どうしたの…?」
「ちょっと萌え死ぬ寸前まで逝きまして」
「…」
まず最初に向かったのはグラウンドだった。玄関と道路を挟んで向こう側、そこにグラウンドが広がっている。俺が通っていた高校ではグラウンドってサッカーや野球が出来るアレしかイメージが無かったんだが、目の前にあるのは陸上競技場みたいなオリンピックで見るようなグラウンド、っていうかトラックが広がっている。女子高ではコレをグラウンドと呼ぶのか。
「これはどこで野球とかサッカーやるのかな?」
という俺の純粋な質問に、ビッチも菜乃香もしーん。
「野球とかサッカーなんてないわよ、もともと女子高だったんだから」
「あ、そう…」
「野球とかサッカー好きなの?」
「いや…。こんな陸上競技場みたいなグラウンド見たことなかったから、どこで野球とかサッカーやるのかなって思って…」
などと話していると突然手をパンと叩き、
「あ!そうだ、部室いきましょ、部室〜」
顔を赤くしながら菜々香が言う。
「部室?」
俺の頭の中に部室のイメージがモヤモヤと浮かんでくる。汗臭い鼻をつく臭い、カビ臭い道具、砂埃、エロ本、脱ぎ捨てられた黄ばんだトランクス、ティッシュ…。うげぇ。
「そうですよ!部室!石鹸とシャンプーの香り、脱ぎかけたブラウス、ブラとパンティー、エッチな本、…そしてひょっとしたら男子も連れ込んでエッチしてるかも知れないっていう、コンドームの痕跡、ベッドには乱れた跡が…ひひっ」
「そ、それは…確かにエロい…」
と、俺は股間がうずく(と言っても女の子の股間ですが)のを覚えながら萌えている気分になっていると、
「なに言ってんのよ!体育会系だからって勝手に汗臭い想像しないでよね!大体なんでベッドがあるのよ、部室に!ったく菜々香はいっつも」
とビッチはブツブツ文句を言っている。
そうこうしつつも俺達は部室の周辺をウロウロ。それを見つけた部活をしていた一人の女子生徒がこちらに向かってきた。
「なーにやってんの?」
結構なガタイをしてる女で胸もそれなりに大きい。スポーツでも柔道とかそういうのをやってる身体に見えるけど着ている服は陸上部のソレだった。
「あ、あの、部室の中を拝見させて頂きたくて…」
「部室ぅ?」
「はい。淫臭が漂っているか確n」「こらこらこら!」慌ててビッチが菜々香の口を抑えて、「見学です、見学!この子、転校してきてまだまもないから部活の見学をさせてあげようと思って」
その柔道部から来たかのような体躯の女子は俺の身体を頭からつま先までジロジロと見てから、
「ふーん…この子がねぇ…どっちかっていうと文化部系じゃないの?」
俺的には文化部系っていうか帰宅部系なのですが。でもその鼻につくような台詞は気に入らないな。俺を見た目だけで見下してるっていうか。でもまぁしょうがない。俺の身体はこの柔道部の女子に比べたらオバハンと子供ぐらいの差があるからなぁ。しかしムカつくな。
「やってみる?体験入部させてあげるよ。今まだ部員集まってないからさ。走り高跳びって知ってる?」
などとしたり顔で言ってくる。走り高跳びぐらい知っとるわ!えっと…なんだっけ?
「…知りません」
「あははははっ!キミ面白いねぇ!中学の時にやらなかった?ほら、今から私がやってあげるから。よく見ておきな」
と、そのガタイのいい女は物干し竿とベッドが用意されているようなそのコースのスタートラインまでドカドカと走って行き、こちらを見て手をふった。それから走りだして物干し竿を軽く背中で超えてみせた。なるほど、オリンピックの中継で見たことがあるな。アレのことだったのか。中学の時は体育はサッカーと野球しかないゆとり授業だったからわかんねーや。
はぁはぁと息をつきながら走ってこちらに向かってくるガタイのいい女。そして、「みた?今のが走り高跳び。高さを競うの」としたり顔。そして「ほら、やってみなよ。あぁ、上着は脱いだほうがいいね」と、俺のブレザーを脱がす。そう来たか。もうやらせる前提じゃん…。