6 気になる転校生 9

カフェテラスは…カフェテラスって呼ぶのが恥ずかしくなるぐらいに巨大なレストランだった。これが学食っていうなら俺のいた高校の学食はなんだろう。あれか、犬の飯喰い場っていうのが正しい言い方になるのか。
学生証を見せたら後は好きなものをとって食べたらいい、っていうバイキング形式。一階にフードバーがあって中2階、外にもテーブルがある。なんてセレブなんだ。クソッ!優雅に談笑しながら女子高生どもが食べてる同じ時間に俺は犬の様にクソみたいな学食をバリボリと貪っていたのか!格差社会です。これは格差社会ですよ!
「ほらほら、急がないと人気のあるものが無くなちゃいますよ〜」と菅原が俺の手を引いて進んでいく。ああ、食ってやるさ、俺が今まで食ってきた犬の飯を払拭するぐらいの量を食べてやるさ!
さてと、まずは前菜にサラダやポテトを取ってと。副菜に魚介類のパスタみたいなのを取ってと、あーもう、いいの食べてやがるなぁ…。メインディッシュはステーキ。…えっと。肉、肉。肉は…?
「あ、あなた、結構食べるのね…残しても手伝わないわよ」
ビッチがそう言う。こいつのお皿はこれだけの料理が並んでいるのに中からサラダっぽいのをちょっととパンを並べてるだけだ。…お前、それで生きて行けるのか?。せっかく大きなおっぱいがちっちゃくなっちゃうぞ。
「それよりステーキとかはないのかな?」
「え、肉?肉系の料理って人気がないから無くなったよ」
「え?!…えー…」
ダメだ。女はダメだ。男子達、可哀想すぎるだろ。野菜とパスタと魚介類ばっかりのバイキングじゃお腹もたないだろ…。
「早く人気のあるのをとっとかないと、無くなっちゃうよ〜」と、人だかりのなかから出てきた菅原のもつプレートの上にはケーキが色々と並んでいる。いや、積み上げられている。
「菜乃香大丈夫なの?太るよ?」
「うぅ…そういう事はケーキを食べ終わってから言ってよ〜。せめて食べ終わるまで幸せでいさせて」
…。
仕方ない。俺は魚介類でなるべく脂っこいものを沢山持ってきてパンやらと一緒のガツガツと食べていた。一見すると色々と揃っているように見えても育ち盛りの高校生に必要なタンパク源が揃っているものはないんだな…。
「しっかし、よく食べるわね。まるで男の子みたいじゃないの」
うっさい。俺は男の子だ。
「べ、別にいいじゃん…。あたしが何を食べようと」
「いいけどさ、清々しいぐらいの食べっぷりね、あの新任の担任もあなたと同じで凄い食べっぷりよ」
しんにんのたんにん?おおう…忘れてた。デブの事か。と、俺がそちらのほうに眼を向けると…。デブが居た。担任の奴は卑しくもバイキングに並んでいたもの全種類をテーブルに並べて端から食べている。よく貧乏人がそれをやって最後には食べれなくて、それでも貧乏ぐせは退かなくて袋に入れて持ち帰るというアレだ。しかし奴の胃袋はその袋を兼ねているのだろうか。異次元ポケットよろしく次から次へと平らげていく。
「あ、あれは…みなかった事にしよう」
と、俺はその巨体から目を逸らした。