6 気になる転校生 7

目を血走らせて教室に入ってきたなんちゃって担任のデブは、一通り俺の紹介を済ませると俺を席に座らせてそして、「クラスの委員長は誰ですかぉ?」と言った。
さっきの女の子、さっきデブに前の担任はどうなったのか、とか言っていた女の子が「早見さんでーす」と答えた。早見は委員長やってんのか。昔から相変わらず目立つような事をするなぁ。
「えーでは、ビッチさん。藤崎さんに学校の案内をしてあげてください」
あちゃ〜…。やっちまってますね。
「私、ビッチっていう名前じゃありません」
「はや…はや?」
「早見です。はやみ」
「では早見ビッチさん、ふじs」
「だからビッチじゃないって言ってるじゃないの!」
…。
「冗談だにゃん。そんで、これから何をするんですかぉ?一時限目は」
冗談かよ。
「ホームルームですよ、先生」
「先生、今日の体力全部使い果たしたから好きにしてていいお」
体力すくねー…。デブはそう言うと、パイプ椅子を窓側に置いてそこに深く腰を掛けて座って、どこからか取り出したセンスでパタパタと顔を仰いで放心状態…っていうか白目になっていびきをかきはじめた。なんて奴。
俺がデブに呆れていると、
「ねぇ、どういう事なの?」
とビッチが俺に聞いてくる。
「どういうって言われても…。あたしは転校してきただけだけど…」
「担任の先生も変わるの?知らなかった」
「う〜ん。そのへんの事情はしらない」変わったっていうか、変えたというか。しかしむちゃくちゃするなぁ、あのマッドサイエンティスト
「教科書とかは?」
「まだ貰ってない」
「じゃ、じゃあ、私のを見せてあげるわよ」
ツンデレっぽくなるビッチ。一応はクラスの委員長って肩書きがあるんだろうか、ビッチは俺に親切にせざる得ないみたいだ。
クラスは担任の怖い先生が寝てるのもあり、最初は静かだったけど段々と騒がしくなってきて、いよいよ転校生である俺のところに女子たちが集まってきた。
「どこから来たの?」「めちゃくちゃ可愛いよね!」「彼氏絶対にいそうだよね!」「部活とか何してたの?うちの部に来ない?」だとか色々と質問されたりして、俺は女子に囲まれるのも悪くないなぁ、なんて思ってた。ただちょっと顔については平均ぐらいな人ばかりだ。俺の事を美人だの可愛いだの言ってくるのもわからないでもない。
聖徳太子じゃないんだからそんなに質問しても答えられないよ」なんてフォローを委員長であるビッチはしていた。どうもクラスの女子からも慕われているみたいだ。意外な一面…。いや、小学の時もそんなんだったかなぁ。俺が見てなかっただけで。