6 気になる転校生 3

デブが拘っていたのは学校の名前だとかどういう学科があるかとかじゃなかった。
少しは制服だとかにも目を向けて自分好みがないかとかこれはあのエロゲに登場した奴だとかなんてブツブツと怪しげなつぶやきをしたりもしたけど、本当に重要なのは共学か女子高か。ちなみに、今の日本では女子高っていうのが殆ど無い。お嬢様高校は女子高になるけどそれは本当に一部の金持ちだけが行く都内の高校になる。しかも学費はバカ高い。というわけでデブは女子高を諦めざるえなかった。
そして次に奴が注目したのは共学だけど元々は女子高だった学校だった。それも共学になってからそれほど時間も経っていない。どおりで聖なんとかばっかり見てると思った。
「整いますた!」
突然大声を上げるデブ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!びっくりした」
「聖アンダルシア学園に決めたにゃん」
デブはしたり顔になってアゴの無精髭をしゃりしゃりとやりながら言った。何か一つの大きなプロジェクトを終わらせた感じになってる。
「結局聖なんとかかぁ。でも入学の手続きとか、入学の試験とか面接とか、色々あるんじゃないの?」
「ふっふっふっ…チミはそういうところは気にしなくていいのだよ」と相変わらず顎の無精髭をしゃりしゃりとさせながら言ってる。なんかムカつくなぁ。
でもまぁ、高校にも行けるようになったし、それはそれでよかったかな。よくよく考えてみると俺はこのデブの…いや、この人の家に居候させてもらっていて、しかも学校まで通わせてもらえてるんだよ。これだけお世話になってて後々怖いくらいだ。例えば「今までお世話してたんだからセックスさせろおらーっ」とか言ってきたりしたら、俺はちょっと考えて「仕方ないなぁ」と言ってエッチさせてしまうかもしれない。惚れてるとかそういうんじゃなくて。俺は恩だとかはちゃんと返さないといけないなんて考えちゃう人なのだ。
「ああ、後は僕がやるからキミは部屋に行っておきなさい」とか言ってる。なんか怪しい。怪しいな。「何?怪しいな?」俺はちらちらとデブの作業しているネット端末のディスプレイをのぞき見しようとしてみる…。特に怪しいものは映って…?
「が、学生服を注文しようとしてるだけだぉ…あっち行ってて」
な、なんでそれだけなのにあっち行ってなきゃいけないんだよ。ったく。まぁいいか。