139 白子のコミケ 3

俺とマコトというドロイドバスター2名がコミケ会場内を歩きまわっていても「あ、なんかドロイドバスターのコスプレしている人がいるゥ」程度でしか見られてないようだ。
誰もが忙しく開館前準備をしている。
「この辺りがドロイドバスターの同人誌かな?」
なんとなく2次元の絵柄が俺などを指しているものが眼に入るようになったので、1つをとって中身を見てみる。
「う、うわぁ…」
さっそく目に入ったのはドロイドバスター・キミカが能力を塞がれてしまう特殊な力を持つ別のドロイドバスターによってレイプされているシーンだ。
「ゆ、許せない…許せないよォ!う、うわぁぁぁぁ!キミカちゃんが大事にとっておいた処女膜がどこの誰だかわからない馬の骨に貫通させられて、秘所から破瓜の血が流れ出てるよォ…酷いよォ…はぁはぁ…なんだか興奮してきちゃった…ボク、ネトラレ属性があるのかな…」
…。
「ま、まぁ、これ、物語だし、架空の話だし」
「例えそうだったとしても原作を馬鹿にしてじゃないかァ!」
「原作…(汗)」
(ぺらり)
ページを捲るとそこにはコーネリアやメイリンがレイプされてる姿も。
「ひ、酷いよ…みんな…」
「あ、マコトもレイプされてる」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
ふむふむ。
このへんは陵辱モノばっかりだな。
レイプに奴隷化にSMに孕ませ、それからウンコを出したりするものもあれば、触手に侵されてたり逆に一般人をドロイドバスターが犯すっていうのまである。逆レイプって奴か。
すると、俺から離れて別の場所を見て回っていたマコトが顔を真っ赤にしてはぁはぁ言いながら俺のところに一冊の本を勝手に持ってきてた。
「勝手に持ってきちゃダメじゃんか」
「これ、売ってもらったんだ」
とはぁはぁ言いながら俺に本を手渡す。
ふむふむ…どれどれ、ストーリーとしてはマコトが男子化して、俺とセックスゥゥダトゥゥゥゥ?!
「ふふふ…ボクの夢が本の中で叶ってるよっ!」
「う、うわぁ…」
「なんでそこで引くかなぁ?!」
「逆バージョンはないの?あたしが男になってマコトの処女膜をブチやぶって中に出して赤ちゃんとか出来たりするやつ」
「なんでそこまでストーリーが決まってるんだよォ!!」
マコトが買った本が置いてある当たりはそういったジャンルで、いわゆる性転換系のストーリーが並んでた。
これはこれでなんだか複雑な心境だよ…架空の話だけど、俺達は外側が美少女でも、中身は男の子だからなぁ、ほんと『コレ(現実)』が架空のストーリーであればよかった。今更ながら夢オチとかないよなぁ…。
探したけどどうやらおっぱいがある程度の大きさのある俺みたいなのは男性化の対象外らしく、おっぱいが小さいマコトとかソンヒが実はチンコが生えてるって設定で他のドロイドバスターとセックスする設定がある。
その中で1つ、面白いものがあった。
ジライヤは普段から面を被ってて中身は分からないドロイドバスターなのだが、その中身が可愛い女の子だった、という設定でストーリーが展開されているのだ。これは素晴らしい。今度本人にこれを送りつけてドン引きする様をみたい。いや、本人の目の前で朗読してやろうか。
…やめとこう。
アイツの事だからブチ切れて本気でコミケを潰しにかかるかもしれない。『有害な図書は日本人の育成に非常に邪魔である』とか言って…。
ん?
これも面白そうだな。
「マコト!これ!これ面白いよ!」
「え?」
「マコトが実は男の子で、それを知ってしまった一般人の男が『それでもかまわない!』って言ってマコトのケツの穴にチンコ突っ込んでる(笑)」
「やめてよぉぉ!!」
あははははーと笑っていた俺が何気なく別の本をとった、その時だった。俺は、固まってしまった。いや、呼吸が、心臓が、停止するかと思ったのだ。
「「…」」
俺とマコトは今までの雰囲気とは一変して、緊張を走らせていた。
その薄い本の表紙には明らかに俺やマコトが全部『男性化』した状態のものが描かれてある。それがわざと判るように描かれてあるのも同人誌っぽいと言えば同人誌っぽいのだが…。
俺は震える手でそのページを捲ってみる。
「「!!」」
時が止まった。
男性化した俺が男性化したマコトのケツの穴にナニを挿してる。そしてケツからは白い液体が溢れでて、どう考えてもケツの中でエクスタシーを迎えたようにしか見えない。マコトの先っちょからは白いのがビュビュビュと飛び出ている。
「「」」
さらにページを捲ると…。
そこには男性化したコーネリアが男性化したメイリンを壁際に追い込んで攻め立ててるシーンだ。メイリンは実物とは逆でコーネリアよりも背が低く描かれてて、それがしゃがんで男性化したコーネリアのアレを、
(コッ)
俺の手から同人誌はすり抜けて地面に乾いた音を立てて落ちた。
マコトは俺の隣でガタガタと震えている。
俺はその本をグラビティコントロールで拾って(手で触れたくない)広げて、そして会場いっぱいに響く声で怒鳴った。
「この本描いた奴出てこいゃぁぁぁぁぁぁぁああぁ!!」
怒る俺。隣ですすり泣くマコト。
(シーン)
俺がグラビティコントロールを使って本を広げているのを見て、気づいたのだろう、俺の元に駆け寄ってきて「ドロイドバスター・キミカ?!本物?!」とか目をぎらつかせて言う腐女子(多分)
俺はすかさずショックカノンをキミカ部屋から引っ張りだすと、腐女子の顔の目の前につきつけて、
「お前か…この本を描いたのは」
「ち、ちがい、ま…ふ」
ちがいま、のところで俺はショックカノンの銃口腐女子の口に突っ込んだから、最後は「ふ」になったようだ。
「じゃあ誰が描いたの?!」
「(ブルンブルン)」
どうやら作者不在で売り子が売ってるってパターンだ。
「この本描いた奴、見つけたら教えて。こ・ろ・す・か・ら」
「ひぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁ!!!」
腐女子は慌てて逃げ出した。