49 体育倉庫で二人っきりで… 2

「いったい何が…起きたの…」
目を開けると僅かに光が差し込んでくるとても狭い空間にいるようで、その後、俺の身体の上に何かが乗っている感触があるが分かった。とりあえず手は沢山のモノの間に挟まっていて動かせない。足も同様に。そして、俺の身体の上に乗っている感触は、柔らかく、そして暖かく、湿り気もあって、心臓の鼓動やら石鹸の香りとか、シャンプーの香りとか、そういう色々な『女の子的』要素が凝縮された何かである事はわかった。
「え?」
メイリン?…ちょうど俺のおっぱいに挟まるような感じでメイリンの顔が俺の上に乗っている。
あの凄まじい砲撃音のような音の後に何が起きたのか頭で整理した結果、俺は様々な文化祭用機材の下敷きになり、さらに俺の上にはメイリンが乗っている、という展開が分かった。メイリンも俺と同じく手足を機材の下敷きになっている為に抜け出せないようだ。
メイリン、おおーい」
「んん?」
どうやら気絶していたようだ。
メイリンがうっすらと目を開ける。
よく見たら俺のブラウスはいつの間にかボタンが外れて、着ていた白いブラ及び白い胸の谷間がブラウスの隙間から顔を覗かせているではないか。
「(ごくり)」
これはメイリンの生唾を飲み込む音である。
さすがにいくら俺が男でも自分のおっぱいの谷間には興奮しない。
しかし…。
その生唾を飲み込むのが自分以外の人間である事は俺にとっては大変ヤバい状況であり、もっとヤバいのはそんなヤバい状況でありながらも俺の手足は動かせないという、男達に手足を掴まれて動かせない状態で目の前には変態がいるという状況に酷似しているのである。ちなみに目の前に変態がいるというのはまさに疑いのない事実であり…えっと、話をそらそう。
「あーもう、メイリンが引っ張ったせいで崩れたじゃんか!どうしてくれるんだよ!」
話をそらしてメイリンの意識を俺のおっぱいの谷間から外さなければならない。しかし…怒りの俺の声もメイリンには何故か届いていない。
「え?ああ」
やっと届いたみたい。
「どうやって出ればいいか…ん〜」
と俺が言っている間にもメイリンはずっと自分の顔の前にある俺のおっぱいに釘付けになっている。
「よし、グラビティコントロールでこの大量の機材を押し上げてみようかな」
俺は神経を集中してメイリンの背後にある文化祭の機材を押し上げる事に専念した。が、1ミリぐらい上がるだけで全然上に持ち上がらない。変身できたらそれぐらいは簡単なんだろうけどな…。
「キミカ、変身する、もっと強力になるのでは?」
「それも考えたんだけど、この近距離でドロイドバスターになったら何が起きるかわからない…。メイリンが巻き込まれてアレな事になったらアレだしさ」
「私も、変身不可」
メイリンは変身する時に武器を出して、さらにそれで結界でも遙かのように周囲に円を描かなければならない。つまり、今の体勢ではそれが出来ない。まさにピンチであった。
「ちょっと待て、私の可動域、増やせるかも知れない」
メイリンはモゾモゾと腰を動かす。
この体勢、メイリンが俺の上に乗っているというよりも、メイリンの太ももは明らかに俺の股の間に2本とも入っていて、一歩間違えれば正常位になっている事になる。そして当然、その体勢でメイリンが腰を動かすという事は…。
「あ!」
俺のアレに思いっきりメイリンの腰が当たって(俺が)ぴくぴく反応する。
「どうしたキミカ?」
「な、なんでも、な、ああん!」
こいつ絶対にわざとやってるだろ!
メイリンは俺が言葉を終わらせる前に腰を動かした。なんとなくジワジワと俺様のおパンティー様がお濡れになっているのが判る。なんてこったい。
「だからメイリン、ちょっと動かないで。その変な腰の動かし方やめて」
「変?」
「変だよ!(明らかに俺のクリトリスを刺激しているだろう!)」
「私、もう少し前に身体を移動」
「いいから…移動させなくていいから」
メイリンは望んだ通りに身体を前に移動させやがった。現在、メイリンの顔の位置は俺の胸の谷間。ぱふぅっという効果音がぴったりなほどに胸の谷間にメイリンの顔がフィット。
メイリン、それ狙ってるよね?狙ってやってるよね?絶対にそうだよね?だって胸の谷間に顔を置く必要ないもん!ないもんね?」
メイリンが顔をゆっくりと起こすと、あのサド・マゾ・メイリンが感じてる時の顔になっているではありませんか。頬を赤くして目は涙ぐんで「はぁはぁ…」と小さく呼吸している。そして俺の顔を見ながらいつものキリリとした表情はどこへ行ったのやら、「ニタァ…」と笑っているじゃないか。
「おいおいおいおい!ヤバいってば!」
ヤバい。俺がヤバい。