21 タイガー・ランペイジ 9

俺は空に飛び立った。
あやうくスカーレットの攻撃をまともに喰らうところだった。
「降りてきなさい!卑怯者!」
などと叫んでいる。
「なんとでも言えば?おしりぺんぺん!」
俺は自らのケツをペシペシッと叩いて挑発した後、タイガー戦車に向かって一直線に飛んだ。案の定、スカーレットもそれを追いかけるように地面を走ってくる。俺の視界でタイガーをターゲットマーキングできるだけの距離の位置まで近づいた。だがそれは同時に相手の射程に入ってことも意味している。
砲塔が俺を狙う、と、そこで霧雨AIに長距離砲のロックオンを送る。ロックオン2回目、ロックオン3回目、ロックオン4回目…おらおらおら!…ロックオン5、6、7…以下略。
タイガーの周囲に爆風が起きる。
撃ってきやがった。
前方にグラビティディフレクター展開。
砲弾は俺の目の前で炸裂して、ディフレクターによって爆風は防がれた。今度は俺の番だぜぇ?!さっきロックオンした長距離砲が次から次へと着弾しようとしている。ファランクスで必死に応戦するタイガー。奴の上空で爆風が巻き起こる。
俺は急降下してタイガーとの距離を縮める。最初は俺も撃ってくると思ったが、タイガーは長距離砲の砲弾を防ぐ事に必死だ。砲塔を俺のほうに向けるも、俺のバリアで塞がれてあちゅうまに奴の懐に飛び込めた。
俺は地面のアスファルトをグラビティコントロールで持ち上げてタイガーの前方に壁を作った。そして、
「おらおらおらおらおら!!!」
タイガー戦車をボコボコに殴る。殴る。ひたすら殴る。
「おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!」
エナジーフィールドが作動している。バリアに防がれて俺の攻撃は通らない。だが、いつまで続くかな?
「おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!」
あと少し、ほんの一瞬バリアが無くなればいい。上空では爆音、地上では俺のラッシュがバリアで塞がれる音。
「しゃーんなろぅッ!」
俺の作った壁の向こうから音が聞こえる。スカーレットがきやがった!俺の壁を難なくぶっ壊した。一瞬、俺の前に姿を表して、今にも飛びかかろうとしたその時、すかさずロックオン。と同時に奴の身体は吹き飛んだ。霧雨の速射砲の攻撃だ。
スカーレットのバリア復活まですぐだ。この一瞬で全てを片付ける!
「おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!おらおらおらおらおら!!!」
バリアが消えた。
俺は武器リストからグラビティブレードを取り出して(0.1秒)、タイガーを横一文字に真っ二つに切った。(0.001秒)
タイガーのファランクスは一瞬俺のほうを向いて、ただ、それも最後の攻撃のようで、ちゃんと俺を狙うことが出来ず、そこらに中に銃弾が命中する。
砲塔が俺を狙うが、身体に作られた横一文字の切断面からずるりと形が崩れ、無残にも動いたままバラバラになった。
その場を飛び立つ俺。
バリアの消えたタイガーに、長距離砲の砲弾の雨が降り注いだ。
そして大爆発した。