20 キミカ・ファンクラブ 2

「それでどうするんだよ」
と俺は廊下を歩きながらユウカに聞く。
この新聞部を潰そうっていうのかな。
「この新聞部を潰すわ…」
「ぅゎぁ…」
そのまんまですか。
「だいたい学園で一番可愛い女の子を投票で決めようとか、去年の文化祭でそういうのもやってたけどさ、そんなの差別よ。女性差別よ。ジェンダーフリーのこの時代に許せないわ。モテない女の子はどうするの?」
どうするの?って俺に聞かれても。
「日陰でひっそりと暮らせばいいんじゃない?」
「あ…あんたねぇ」
「じゃあ、男の子で誰が一番かっこいいかも女の子からの投票で決めたらいいじゃん。ほら男女平等」
「…」
なんか冷たい視線を俺に向けてくるユウカ。
「とにかく生徒会に行くわ。そしてこんなクソ新聞部を廃部にしてもらうのよ。この新聞部って男しか居ないのかな?それこそ男女差別よ!」
「新聞部に入りたい人を募った結果で男の子ばっかり集まったんなら、それはそれでいいんじゃないの…」
「ダメ!ちゃんと女の子の枠を用意して無理にでも入れなきゃダメ!」
そうこうしているうちに俺達は生徒会に到着。職員室から続く薄暗い廊下を進んだ先に『生徒会』って茶色くなった札がある場所がそれだった。
扉を開けるとメガネを掛けたいかにも生徒会書記って感じの女の子が本を読んでいた。
「ちょっと物申したい事があるんだけど!」
突然それですか…。嫌な生徒だなぁ。
「なんですか?」
扱いなれた感じにそう返す生徒会書記っぽい人。
「こんな卑猥な新聞を出す新聞部はこの学校の風紀にあわないわ!今すぐ配布にして!!」とユウカは叫びながらバンッとテーブルの上にさっきの俺のエッチなポーズが並んでる新聞を(って取ってきたのかよ)叩きつけた。
のそーっと立ち上がった生徒会書記っぽい女の子はその新聞をマジマジと眺めてから、
「これは新聞部の新聞じゃないですよ」
と言った。
「じゃ、じゃあ、どこの新聞?」
「許可されてない新聞じゃないのかな?」
「くぅぅ…」
無念、って言いたそうな顔になるユウカ。
「一体誰が貼っているんでしょうねぇ…」
メガネをくいくいと動かしながらナツコが言う。
「誰が貼っているのか廊下で待っておけばいいかしらね、ちょうど今剥がしてきたところだし、気になって貼りに来るかも知れないわ」
なんとしてでも俺の写真が載っている新聞を廊下に貼りたくないみたいだな、このクソビッチは。お前の裸体が載っている新聞ならいやいやながらも喜んで貼り出しそうな気がするぞ…。