16 妹救出作戦 6

武器リストからレイルガンを取り出…そうと思ったけど、これは音が凄まじいからダメだ。俺は何か音が出ない奴がないかと、中からライフル以外で音が出ない武器、グラビティブレードを取り出した。
「わぉ!侍さんだ!」
タチコマが間抜けな声を上げる。
「しぃーっ!」
「あわわ、ごめんなさい」と、前足(手?)で口を抑えるような仕草をする。っていうか、そこ口だったんだ。
俺は透視モードで壁を透視して兵士が何人いるのか確認する。深夜なので作業員も研究員もいないみたいだ。兵士もそれほど…いない、のかなぁ?俺が見渡せる範囲では居ないんだけど。
「ちょっとまてよ…」
「ん?どしたの?」
タチコマ、どこに妹さんが捉えられてるかわかる?」
「ボクはここに住んでるわけじゃないんだから、そんなの判るわけないじゃん」
「それじゃどうやって救出すればいいんだよ!」
「手当たりしだい捜すしかないじゃん」
透視した範囲では居ない。でも一箇所だけ、透視できない場所がある。デブが言っていたけど、分厚い壁や鉄の中は透視できないらしい。つまり、その場所に妹さんがいる可能性が高い。
「あそこか…」
「?」
タチコマ、作戦はいのちをだいじにで」
「いのち…つまりボクはキミカさんを守ればいいのかな」
タチコマタチコマの身を守ればいいから、前面に出ないでね。後で妹さんを運ぶからさ」
「了解!」
そして俺は廊下を進んで、最初の巡回兵士をブレードでぶった切ろうとした時、サイレンが鳴り響いた。もちろん兵士は突然の音に反応して俺のほうを振り向く。目の前に刀持った女がいるんだ、そりゃ敵だと思うだろう。
「チェストオォォ!」
俺は刀を振りかざした。
目の前に青白い光が発行して透明な膜のようなものが見えた。これは…バリア?マジで?
油断した俺にその兵士の手が「ぬっ」という感じで迫ってくる。これは俺が持っているバリアが反応しないように緩やかな速度で俺に触れる為の動きだった。手は俺の喉元を掴んだ。刀が床に転がる。
「グッ!」
そのまま手が俺を壁に叩きつける。背後の壁がぶっ壊れて後ろの部屋が見える。
「さ、サイボーグかよッ」
まだ兵士の手は俺の喉元を離さない。今度は引っ張ってもう一方の壁に叩きつけようとする。
タチコマァァァ!」
俺が叫ぶとタチコマのマシンガンが火を吹いた。兵士の胸元に俺が刀でぶった切ろうとした時に現れた青白い膜状のバリアが数個見えたり消えたりした後、バリアが切れる。そして弾痕が足と腰に当たる。
バランスを崩した。
俺は刀にグラビティーコントロールを使って自分のもとまで引き寄せて、それを持つと、そのサイボーグらしき野郎の右肩から左腰までをぶった切った。覗かせたのは機械の身体だ。頭から左肩は後ろに転げ落ちる。でもまだ動く。
「き、キモイ」
残った右腕のほうで俺をつかもうとする。
俺は刀で腰、腕、足をバラバラにぶった切った。
ようやくそのサイボーグというか、アンドロイドが動きを止めた。
とりあえずそいつは始末したと安心していたらタチコマが廊下の反対側、俺達が来た方向に向かって撃ちまくってる。
いるいる、兵士やらドロイドがぞろぞろと、あのサイレンで侵入者がいる事がバレてしまったのだ。次から次へとこちらに向かってきてるのが判る。物陰に隠れてタチコマの銃弾を交わしている。タチコマ被弾。バリアーは効いてるものの、切れてしまうのも時間の問題だ。
俺は武器リストからレイルガンを取り出して掃射した。
タチコマ、下がって!」
俺の盾になろうとして前面にでるタチコマに下がらせる。俺はグラビティコントロールで地面やら天井やらから壁を作って銃弾を防ぐ。その隙間からレイルガンでこちらに近づいてくる米兵どもを狙い撃ちした。
「撃っても撃っても近寄ってくるよ、起用な人達だなぁ」
米兵もそういう訓練を受けているんだろう。援護をしながら、被害を出しながらもこちらとの距離を縮めようとしてる。
「あ」
タチコマが何かに気付いたみたいだ。
「ミサイルくるーッ!」
「え、マジで?!」
そういえば筒状の何かを肩に持ってる兵が動いていた。
そいつの筒状の何かからミサイルらしきのが俺のほうに向かって飛んできやがる。
「あわわわわ!ボクを狙ってる!」
「ふんッ!」と、俺は全グラビティコントロールをミサイルに向けて放つ。さすが変身後だ。ミサイルはこちらに向かってくるスピードよりも速い速度で米兵がいるほうに向かって弾き飛ばされた。そして、凄まじい爆風。
「すごい!すごーい!」
爆風は天井が崩れそうなぐらいに周囲のフロアを吹き飛ばした。でも…ああ、クソッ。まだやってくるぞ、らちがあかないや。
タチコマ、とりあえず救出を急ごう。時間が経てば経つほど集まってくる」
「はーい!」